今から10年ほど前、生まれて初めて海外に行ったときのことを、当時のメモから書き起こしてみようと思います。
───2004年6月、梅雨らしい月曜の朝。定例の管理職会議の終わり頃にS部長から突然、「あ、○○ちゃん。来月、スイス行きね」とのお言葉を賜り、天地が引っくり返るほど驚きました。
当時いた会社は国内市場オンリーの業種で、もちろん海外出張など絶対にあろうはずが無いと思っていたのもそうですが・・・私は大の飛行機嫌いだったのです。
しかし、男は度胸。パスポートを作ってからは気持ちを切り替えて、初めての海外に備え始めました。何より出張とは言っても、取引先へのご訪問や視察がメイン。現地での自由時間を楽しむために、何冊も本を買い込んで読み漁りました。
そして、あっという間に出発前日を迎えました。
私は埼玉に住んでいるのですが、朝8時に成田空港集合ということで、成田ビューホテルというところに前泊することにしました。
ロビーでチェックインすると、部屋番号が333。なんともラッキーで幸先が良い感じです。
しかし、明日の飛行機を想像すると緊張が高まってきて眠れなくなってしまったので、ラウンジに降りてしこたま飲み、何とか就寝しました。
翌日。同じく前泊していたS部長と7時前に合流し、送迎バスで成田空港に向かいました。途中、バスの中に係員の方が乗り込んできてパスポートチェックを受けるのには驚きました。これも国際空港ならではなんでしょうね。
7時20分頃に空港到着。電光掲示板を見ると、私たちが搭乗するJALのチューリッヒ直行便、「JL741」も表示されていました。
さて、今回の視察は他社合同の視察旅行ということで、近畿日本ツーリストの添乗員さんが同行してくれます。
近ツリMさんはなかなか爽やかなイケメン。気さくで頼りになる方で、出発前に海外で気をつけることや豆知識などを教えてくれました。その後、一緒にスイスに同行される他社の皆さんとお互い自己紹介などを済ませていると、いよいよ出発の時間が迫ってきました。
さあ、生まれて初めての出国手続きがはじまります。金属探知機を通るのも初めての経験ですが、近ツリMさんに事前に伺っていた通り、冷静に事を進めれば良いはずです。
腕時計やお財布などを外して通ってみると・・・キンコン!
あれれ・・・ということで、ベルトを外して再度・・・キンコン!
あれあれ!?
あれあれあれ!?!?!?
もはやパニック状態でしたが、ペレットが埋め込まれた靴が原因だった模様。当時流れていた、ショーケン出演の協和アガリスクのシーンが脳裏に浮かびました。銀河の歴史がまた、一ページ・・・。
そして、何とか出国手続きも終え、飛行機に搭乗です。今回の機材はマクドネルダグラス社製の「MD11」です。
余談ですが、JAL所有のMD11は全てUPSに売却されて貨物機として運行中とのこと。私たちが乗った機材も、もしかしたら現在も世界中を飛び回って荷物を運んでいるかも知れませんね。
離陸してからしばらくは窓の外をずっと眺めて過ごしましたが、機内食を堪能した後は映画を見るなどまったり過ごしました。
そして、10数時間が経過して、ようやくスイス、チューリッヒに到着。日本時間は既に深夜ですが、スイスは出発した日の午後。何だか不思議な気持ちですね。ちょっぴり時差ボケが気になり始めます。
空港内は質実剛健な成田と違い、かなりお洒落な作り。掲示物は、ほとんど液晶でした。今でこそ液晶は当たり前ですが、何せ10年前ですからちょっと驚きです。その配色といいフォントの選択といい、かなりのセンスを感じました。
入国手続きは、気が抜けるほど簡単。入国スタンプすら押されませんでした。「ハロー」「ウェルカム」(ちらっと写真を見る)「オーケー、ハブアナイスディ!」・・・以上でした(笑)。
空港の両替所で日本円3万円をスイスフランに変え、バスに乗ってホテルがある首都ベルンへと向かいました。
バスはメルセデスベンツ製。シートのリクライニングは数度しか傾かず、日本のバスの様に斜めにすることは出来ませんが、非常に良い乗り心地です。
窓の外は牧歌的な風景で、空がとても高いのが印象的でした。日本の郊外に似ているようで、やはりどことなく違います。
快適なバスに揺られながら、一路ベルンのホテルへ──。
1時間ほどして、「HOTEL ALLEGRO KURSAAL BERN」に到着。館内にカジノもある、かなり豪華なホテルです。お部屋はツインで、同僚のTさんと同室となります。どうぞよろしく!
窓の外には芝生が綺麗な庭園が広がっていて、オープンカフェもありました。道路を挟んだ向かい側には、何ともヨーロッパ的な建物が立ち並んでいます。う~ん、ステキ!
しばしホテル内を散策した後、いよいよスイスに到着してから初めてのお食事です。
まずはカールスバーグで乾杯。乾いた喉に沁み入る美味しさに、しばし感動です。
そしてディナースタート。大量のサラダを食べた後は、ソースがタップリ掛かったピカタ、バターライス添えが登場。とても美味しいのですが、ソースの味がかなり濃く、またバターライスも本当にバターたっぷり。なるほど、スイスの料理はハッキリした濃い味が多いと本に載っていましたが、まさにその通りです。
ケーキは、これまたとにかく甘い!日本のケーキを食べ慣れていると、あれでも甘く感じますが、このケーキはその数倍甘いと思いました。そして、ケーキ自体とは対照的に、添えられた生クリームには一切の甘みがついていませんでした。なるほど、うまく組み合わせて食べるんだな~。
なお、食べ放題のパンはとても美味しく、残ったソースに浸すなどしてタップリ食べてしまいました。
夕食を終えて部屋に戻ってみると、外がまだまだ明るい!そうか、緯度が高いから日が沈むのが遅いんですね。日没したのは21時半頃でした。
こうして、色々と驚きの連続だったスイス初日は、ようやく暮れていきました・・・。
(つづく)